こんにちは、ochanです。
今回は2023年の3月に発売されたばかりのGOGlampingの”山稜”二又ティピーテントTC180について解説します。
この山稜(さんりょう)はソロキャンプ用のとても革新的なティピーテントです。
というのも山稜は耐水ファスナーやTC生地へのシームテープ処理の採用の他に、テント本体以外に取り外し可能なミニサイズのウィングタープが付属しているなど他社に例のない仕様になっているからです。
そんな想像の斜め上を行くテントを前にして、「はて、どうやってこのテントを使えばいいのだろう?」とか「使いこなせるかなぁ」と、少し不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでテントマニアの管理人が、この山稜が発売されると同時に入手しソロキャンプで使い込むことによって隅々まで確かめてきたことを、この記事でみなさまにお伝えできればと思っています。
この記事ではこの山稜に興味があるけど仕様や特徴がよくわからない、使い方を知りたいという方に向け、以下の内容について徹底的に解説していきます。
- 山稜の特長
- 山稜の主な仕様
- 山稜のアレンジ方法
- 山稜の使用感
この記事を読むことで、このテントについて理解できるとともに、キャンプを始めたばかりの方でもGOGlampingの山稜を自信をもって使いこなしていただけるものと思います。
GOGlampingはいつも夢のあるテントやタープを作ってくれる急成長のブランド。
実際に今回の山稜でも日本メーカーには真似が出来ないような新しいことにチャレンジしてくれていますよ。
それでは最後までごゆっくりとどうぞ。
GOGlampingファンだった管理人は2023年3月よりGOGlamping公認アンバサダーをやることになりました。
今回レビューする山稜はGOGlampingさんのご厚意により提供いただいていますが、本記事中の製品に対する意見や感想についてはあくまで管理人個人の考えによるものです。
GOGlamping”山稜”の特長
それでは初めに山稜の主な特長から説明します。
まずは山稜の特長をあげます。
- 二又ポールを標準装備
- 上下2段にベンチレーション装備で風通し良好
- 雨に強い耐水ファスナーを採用
- TCテントなのにシームテープ処理済
- 薪ストーブ用煙突ポートを採用
- 小型ウィングタープを標準装備
- 濃い影の出来るポリコットン生地採用
- 夏は巻き上げ可能なスカートを装備
それではこの特長について順番に見ていきましょう。
二又ポールを標準装備
山稜のセンターポールには二又ポールが採用されています。
二又ポールによりテントの中央にポールがないため居住性が上がりテント内のレイアウトの自由度が大きくなるというメリットがあります。
また管理人は山稜の中にインナーテントを入れカンガルースタイルで使っていますが、このような場合にも二又ポールならインナーテントへの出入りがしやすくて便利です。
二又ポールの上部にはテントの頂点部分を傷つけないために柔らかいEVAボールが付いていますが、このボールには予備が一つ付属しているという配慮も嬉しいですね。
また二又ポールの角度を固定する下部ベルトにはバックルとストラップがついており最適な長さに調整することができるようになっています。
上下2段のベンチレーションを装備
山稜のサイド面にはベンチレーションがそれぞれ上下に2か所ずつついています。
特に下部の大型ベンチレーションは同クラスのティピーテントではあまり見かけません。
これなら夏にテントをフルクローズしても快適に寝れそうですね。
耐水ファスナーを採用
今回、耐水ファスナーが採用されていたことにとても驚きました。
耐水ファスナーは防水性のカバンなどにも使われているタイプの水のしみこまないファスナーです。
テントで耐水ファスナーを採用しているモノを見かけないので、これはかなり先進的な仕様です。
開閉の動きもスムーズです。
実際に半日くらいの間、山稜で雨の中でキャンプをしたことがあります。
その時はテントの撥水が失われるくらいの豪雨でしたが、耐水ファスナーから雨がテント内側にしみこんでくることはありませんでした。
この雨対策の仕様はなかなか素晴らしいと思いました。
TCテントに業界初のシームテープ採用
前述の耐水ファスナーも画期的なのですが、TCテントに施されたシームテープはそれ以上に画期的な技術だと思います。
ほんと、これははじめて見て驚きました。
シームテープは生地の縫い目にあいた針の穴から雨が浸入してくるのを防ぐための防水テープですが、いままでTC生地のテントではシームテープで縫い目を処理されることはありません。
撥水性のあるTC生地、耐水ファスナーと合わせて、山稜は雨に対するメーカーのこだわりを強く感じるテントですね。
耐水ファスナーやシームテープの採用についてお話しましたが、これらの仕様はさておき実際に雨雨天時に雨漏りしないかが一番みなさんが気になるとこではないかと思います。
僕はこの山稜を張って約12時間ほど大雨の中で過ごしましたが、この時に雨漏りは一切ありませんでした。
つまり雨対策として考えられた仕様は問題なく機能しているということです。
煙突ポートを装備
煙突ポートは国内ブランドのテントにはほとんど採用されないのですが、山稜にはしっかりと装備されています。
銀色の不燃性の素材の中央がクロスにカットされており、煙突ガードを使わなくても薪ストーブをインストールできる仕様になっています。
実際に山稜に薪ストーブを使ってみましたので、あとで詳しく説明しますね。
小型ウィングタープを標準装備
山稜の一番の特長は使い方のアレンジ幅が大きい小型のウィングタープを付属していることです。
このタープ、本体とファスナーで接続できるようになっているのでそのまま先端をペグダウンしてテントを閉じることもできますし、風の吹く方向に合わせて風除けとしても使える優れものです。
またタープをテント頂点に固定させるための連結用ハットまで標準でついているという豪華仕様。
この連結用ハットを使うことで社外品のタープも簡単に連結させることもできますよ。
テントの頂上につけるとこんな感じです。
GOGlamping”山稜”の主な仕様
それでは、ここからは山稜の仕様についてみていきましょう。
”山稜”とはどういう意味?
山稜とは山の稜線の部分を意味します。
このテントの名前は、テントに接続したミニタープの稜線を山稜に例えてつけられたものです。
山稜の主な仕様
主な仕様は以下の通り。
フライシートサイズ | (約)W270*D270*H180cm |
前幕サイズ | (約)W324×D248cm |
収納サイズ | (約)W61xD22xH22cm |
重量 | (約)6.8kg |
材質 | フライシート/前幕:ポリコットン |
耐水圧 | 700mm(※1) |
定員 | 1名 |
付属品 | フライシート×1枚 前幕×1枚 二又ポール×1セット 前幕用連結アダプター×1個 カラビナ×1個 EVAボール×2個 自在付きロープ×12本 ペグ×6本(※2) キャリーバッグ×1個(※3) 取扱説明書(日本語)×1枚 |
※1:山稜は生地の表面に防水コーティングと撥水処理を施されています。このため一般的なTC生地のテントの耐水圧が400mm前後なのに対し、山稜は700mmと高い数値になっています。
※2:付属するペグは6本のみ。最低限テントは立ちますが十分な本数ではありませんので別途ペグを用意しておく必要があります。これはとても画期的なことです。僕はいつもこうした付属のペグを使わず鍛造ペグやチタンペグなどの丈夫なペグを代わりに使っていたので、ペグが付属していることがもったいないなと感じていました。こういう取り組みが他のメーカーにも広がるといいですね。
※3:山稜のキャリーバックはいままでのGOGlampingの収納袋とは違いとても上質に仕上がっています。袋が大きめに作られていて、片づける時はテントを袋に入れてからコンプレッションベルトで絞るタイプです。
この通りテントを入れても余裕のあるサイズです。
さらに開閉はファスナー式ではなくベルクロ式になっています。
収納袋のファスナー部分は壊れてしまうこともあるので、この点はよく考えられた仕様だと思います。
ティピーテントのサイズを比較してみる
正方形床のタイプのティピーテントはぺグダウンの位置を把握しやすいというメリットがあり人気のカテゴリー。
この中で山稜のサイズ感を知るため、他メーカのティピーテントとフライシートのサイズを比較してみましょう。
下の表はすべて正方形床のTCテントです。
テント名称 | 幅×奥行(cm) | 高さ(cm) |
GOGlamping 山稜 | 270×270 | 180 |
BUNDOK ソロティピー1TC | 240×240 | 150 |
WAQ Alpha TC | 240×240 | 150 |
テンマクデザイン パンダTC+ | 270×270 | 170 |
Onetigris Conifer | 260×260 | 180 |
WAQ Alpha TC solo DX | 300×300 | 180 |
現時点でこのタイプのテントは山稜、コニファー、 Alpha TC solo DXの高さ180cmが一番高いクラス。
同じ1人用のソロティピー1TCクラスの高さ150cmに比べて山稜のサイズはかなり大きい印象を受けますが、最近のこのカテゴリーのテントサイズは居住性を重視して少しずつ大きくなっているようです。
また、幅×奥行は定番のパンダTCと同じサイズ。
個人的にはソロキャンプの寝床の大きさや荷物の量を考えると、パンダTC+や山稜くらいの寸法が一番使いやすいと感じます。
山稜二又ティピーテントTC180を使い倒す!
ここからは、僕が実際にソロキャンプで山稜をあれこれ試しながら張った時のことをお話します。
付属ウィングタープのアレンジ方法
山稜についているウィングタープは天候などを考えて張り方を変えられる便利なタープです。
なかなか探してもこのくらい小型のタープって売られていないのですよね。
ましてやTC生地の小型ウイングタープはとても貴重なので、持っておいて損はないアイテムだと思います。
さて、ここではいくつかウイングタープの使い方を紹介しておきますね。
こちらは、初めて山稜を張った時のキャンプの様子ですが、冷たい風を避けるためにウィングタープをサイド面に接続して張っています。
ウイングタープはテントとファスナーで接続できるようになっているので、一体感がありますね。
こちらはウィングタープとテントのフロント部分を組み合わせたパターン。
フロントフラップのようになりますが、こうすると囲われている感じが大きいですね。
正面から見るとこんな感じです。
ここで注意点がひとつあります。
山稜にはウイングタープ用のポールは付属していません。
タープを活用したい方は、ポールも準備しておく必要がありますよ。
GOGlampingのアルミポールはこちら。
インナーテントにフカヅメカンガルーテントSSは使えるか?
最近DODのフカヅメカンガルーテントSSを購入しました。
これを同じDODのショウネンテントにすっきりと入れることに成功し嬉しくなった管理人です。
さて今回は山稜に設置することに挑戦。
今回の山稜はパンダTCより天井が高くなっているなので、うまく収まることを期待しながら使ってみます。
まず、フカヅメは色が山稜と同じカーキ色なので一体感があるのがいいと思います。
山稜は二又ポールなので、簡単に正面から自立式テントを奥に入れることができるのがいいですね。
下の写真の様に問題なく入ったかに見えるのですが。
フカヅメのフレームが軽く山稜のサイド面に当たっています。
僕はあまり気にせずにこの状態で使っていますが、気になる方は気になるかもしれませんので同じように使う場合はこの点ご注意ください。
熱田野営具店のシルス170TCは接続できるか?
熱田野営具店がテンマクデザインのパンダTC用として販売しているシルス170TCは、パンダTCマニアの間ではとても人気のタープです。
山稜はパンダTCより10cm高いのですが、幅と奥行きは一緒なのでなんとか使えないかと思っていました。
結論を言うと、ほんの少しだけ難がありますが機能的には問題なく使えます。
接続すると、こんな感じです。
角度を少し変えて見るとこんな感じ。
これも個人的には、ほぼ気にならないレベルです。
山稜とシルス170TCとの組み合わせは、パンダTC+シルス170TCの組み合わせよりもサイズ的に余裕があるし、テント本体自体が高機能なのがいいところです。
なによりフロントの幕を開けた状態でもシルスと合体することで、小雨程度なら幕内に雨が入ってくるのを防いでくれるのがいいですね。
それにしても、シルス170TCは張った姿がとてもカッコいいですなー。
GOGlampingの山帆ヘキサタープTCを連結する
GOGlampingより2023年6月に発売された山帆(やまほ)ヘキサタープTCはソロキャンプでとても使い勝手の良いサイズのTCタープ。
シルス170TCもいいけど、この山帆も山稜に接続するととてもカッコいい姿になりますので、管理人としてはかなりおすすめのタープです。
さらにTC生地なのにシームテープ処理を施すなど山稜と同じくらい雨対策に気をつかって作られているのもおすすめポイントですよ。
詳しくは山帆の紹介記事のリンクをはっておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
憧れの薪ストーブを入れてみた
薪ストーブを冬キャンプで使ってみたいと思っている方も多いと思いますが、山稜には煙突ポートがついているので薪ストーブをインストールすることが可能です。
煙突が山稜から出ている姿はなかなかカッコいい(^_-)-☆
煙突がテント生地に触れないように煙突の貫通部には工夫がされています。
シルバーの部分は耐熱素材で作られています。
この時は煙突ガードを使用しませんでしたが、もし心配なら十字にカットされている穴の部分を広げて煙突ガードごと貫通させることもできそうですね。
参考までに僕が使用している薪ストーブはテンマクデザインのウッドストーブサイドビューMです。
これは暖かくて快適です。
雨の日に市販タープを連結
雨の日に山稜に付属の前幕用連結アダプターとウイングタープを使ってテント前に屋根を作ったとしても、テントとタープの間のすき間から雨がテント内に入ってくるため雨対策としては十分とは言えません。
そこで、雨の日は市販のタープを連結することをお勧めします。
下の写真は山稜に、同じGOGlampingのTCヘキサタープ”TUBASA”を連結し雨の中で使用した時のものです。
このくらいのサイズのタープを張ってしまえば、テント前に十分なスペースが出来るので雨の日でも快適に過ごせますね。
そしてこの写真で注目していただきたいのは、テントとタープの間にすき間がなく雨が中に入ってこない状態になってるということ。
この様にタープを張るときのポイントは、付属の前幕用連結アダプターは使用せず直接タープの端をテントの頂点に載せて固定することです。
テントの頂点を拡大すると以下の写真のようになりますので、参考にしてください。
山稜は風に強いテント
山稜は優秀なテントですが、そんな山稜について僕が唯一心配していたのが二又ポールを採用したことによって風に対し弱くなっていないかということでした。
そんなことを思っていたら、思いかけず2023年のGWのキャンプで一晩中暴風雨の中、山稜で夜を明かしました(笑)。
真夜中に風速10m/sを超えたのでテントの外が騒がしくなり、外に出てみると周りのタープやテントが幾つかつぶれて修復中でした。
僕の山稜はシルス170TCを接続していたので風による相当の負荷が加わった状態でしたが、それにもかかわらず前後面をすべてフルクローズしていただけで難なく一夜を過ごすことができました。
おそらく、キャンプでこれ以上に過酷な条件にはほとんど出会うことは無いと僕は思います。
この時の経験によって山稜が風に強いことが証明されたので、この二又ポールの耐風性についても僕は信頼できるようになりました。
GOGlampingの”山稜”まとめ
ここまで、山稜に興味はあるけど仕様や特徴がよくわからない、使い方を知りたいという方に向け、山稜の特徴や仕様、使ってみてわかったことを徹底的に解説してきましたがいかがだったでしょうか。
僕はテンマクデザインのパンダTCが好きでソロキャンプで使う頻度もそれなりに高いのですが、今回の山稜を使ってみてパンダTCよりもっとハイスペックなテントだと思いました。
とくに耐水ファスナーやTCのシームテープ処理など、目立たないところまで気を配って作られているテントはこの価格帯のテントではありませんね。
山稜には付属品が多いのではじめは戸惑うことがあるかもしれませんが、そのような場合にはウイングタープを使わずにテント本体だけで使いはじめ、慣れてきたところでタープを接続して使うことをお勧めします。
このウイングタープはいいですね。
僕は付属のウイングタープに似た小型タープ(ポリエステル製)をパンダTCを使っているときに欲しくて後から購入しましたが、TC生地の小型タープは市販されているものが見つからないので、これはとても貴重な付属装備だと感じます。
この小さなタープを状況に応じて使いこなせるようになるとかっこいいですよね。
そして、ここは強調しておきたいのですが、山稜はタープを除けば本体自体はシンプルなデザインなのがいいところなのです。
本体がシンプルなので付属のウイングタープやシルス170TCのような他のタープと組み合わせて使うという自由度も持ち合わせているわけです。
それでは、山稜の話はこのへんで終わりにしたいと思います。
最後にGOGlampingの製品は、国内ではAmazonでしか販売されていません。
他の販売店で購入すると保証を受けられなかったりするので注意してくださいませ。
それでは、みなさん楽しいキャンプを!
GOGlampingのその他の製品の紹介はこちらの記事にまとめています。