今回はこの1年間使ってきたSOTOのシングルガスバーナーST-310をご紹介します。
このST-310は寒さに強いSOTO独自のマイクロレギュレータを搭載しているモデルで、冬キャンプを楽しみたいと考えられているキャンパーさんにはとてもオススメのガスバーナーです。
売れているガスバーナーだけあって、点火アシストレバーやウインドスクリーン、溶岩石プレートのような純正オプションが豊富にそろっているため、本体を購入後もこれらのオプションを買い足すことで、さらに便利になり、また楽しみ方も増やすことのできるバーナーだと思います。
最初の一台目に購入するバーナーとして同じSOTOの新作ST-330(フュージョン)とこのST-310のどちらを購入しようか迷われているのであれば、僕はST-310の方をおススメします。(この記事を書いている時点では、どちらのバーナーも所有しておりキャンプで使用しています。)
目次
SOTO ST-310の購入動機
以前はいつも静かに燃焼しているカセットコンロがキャンプで最強の火器だと思っていました。
ところがSOTO ST-310を使い始めてから、”ゴォーッ”という猛々しい音をたてながら燃えるガスバーナーにキャンプ道具としての魅力がたくさんあることに気が付きました。
そこで、なぜカセットコンロを使っていたのにシングルバーナーを購入しようと思ったのか、また数あるシングルガスバーナーの中からSOTOのST-310を選んだのかについて最初にお話しします。
カセットコンロvsシングルガスバーナー
僕は、ソロキャンプを初めてからイワタニのカセットコンロを主に使用してきました。カセットコンロは長年改良されてきた調理道具だけにアウトドアに持ち出してもとにかくタフで壊れないし、つまみを回すだけで点火と火力調節が出来るので取り扱いも容易なのです。
そこにカセットコンロの一番の弱点だった風への対策として自作風防を取り付けたら、アウトドア用のガスバーナーに比べて少し大きいことを除けば何も弱点が無くなったと思っていました。
SOTO ST-310を購入したわけ
弱点は無くなったというものの、カセットコンロに不満が無かったわけではありません。カセットコンロには所有する喜びがあまり感じられないという不満が少しありました。
そしてST-310を購入するまでは、それでも最後は使い易いカセットコンロの方が最後に残ることになるだろうという期待も持っていました。
この結末にとても興味が出たので、有名アウトドアメーカー製のシングルバーナーを1個購入することに決めました。もちろん燃料はランニングコストを考え、CB缶を使うタイプしか考えられませんでした。
また購入に際しては、それまで使っていたカセットコンロには強力なヒートパネルがついていたこともあり、寒冷地用ガスを使う以外にドロップダウン対策の無いシングルバーナーでは、これもランニングコストの面ですぐに不満を感じるのは確実だと思いました。
そこでドロップダウン対策として有効なSOTOのマイクロレギュレーター搭載モデルの中で、唯一CB缶に対応しているST-310を選んだのです。
冬キャンプに有効なマイクロレギュレータとは何か?
通常のガスバーナーは、冬キャンプなどの外気温が低い環境で火力が落ちるドロップダウンという現象を起こします。
CB缶、OD缶などのガス燃料は使い勝手に優れていることからとても人気があるのですが、このドロップダウンはそんなガス燃料を使う上での唯一の弱点と言っても良いでしょう。
ST-310にはこのドロップダウン現象を解消するために一般のガスバーナーに使われているようなニードル式バルブはなく、マイクロレギュレーター式を採用しています。
このマイクロレギュレータはスプリングの反発力を利用した小型のガス減圧機構です。
この機構により夏場の高温下でボンベ内圧が高くなった時はガス流路が自動で閉じ勝手になり、冬場の低温下でボンベ内圧が低くなった時はガス流路が自動で開き勝手になりますので、常に安定した流量のガスをバーナーヘッドへ供給することが可能です。
SOTOのHPには、このマイクロレギュレータにより「外気温25℃~5℃の環境下でも常に一定の火力を発揮します。」との記載がありますので、5℃までは有効に働いてくれるようです。
通常のシングルガスバーナーでレギュラーガス(ブタンガス)缶を使うと10度を切ったあたりからドロップダウンが始まるので、マイクロレギュレータにより5℃くらいのアドバンテージが出来たという訳ですね。
マイクロレギュレーターにはこの他にも、ガスバーナー使用中にCB缶を傾けたり動かしたりした時に不意に発生した生ガスにより赤い大きな炎が上がることを防いでくれるという安全上の利点もあります。
SOTO ST-310の主な仕様
ST-310の主な仕様です。
- 外形寸法 幅166X奥行142X高さ110mm(使用時・本体のみ)幅140X奥行70X高さ110mm(収納時)
- 重量:350g(本体のみ)
- 発熱量:2.9kW(2,500kcal/h)(ST-760使用時)
- 使用時間:約1.5時間(ST-760 1本使用時)
- 使用容器:SOTO製品専用容器(ST-760、ST-700)
- 点火方式:圧電点火方式
- 材質:バーナー・器具栓つまみ:ステンレス、ボンベホルダー・点火スイッチ:樹脂
- 付属品:収納ポーチ
※ST-760はSOTO製ボンベ。液化プロパン混入の寒冷地仕様CB缶です。
直径19cmまでの大鍋が使用可能です。マイクロレギュレータ搭載により長時間の使用でも火力の低下を防いでくれます。
コンパクトなシングルガスバーナー
シングルガスバーナーでST-310よりも軽量コンパクトなものを探せば、きっといくらでも見つかると思います。
正直に言うとST-310はウルトラライトな道具では無いのですが、バイクや車でのキャンプには十分なサイズまでコンパクトになってくれます。
それに下の写真のように収納時に四本足を折りたためるギミックなんかは使っていて楽しいですね。
ライバルガスストーブとの比較
SOTO ST-310 | イワタニ CB-JCB | ユニフレームUS-700 | |
使用時サイズ | 幅166X奥行142X高さ110mm | 幅155×奥行155×高さ127mm | 約93×77×高さ115mm |
重量 | 350g | 約274g | 約315g |
発熱量 | 2,500kcal/h プレミアムガス |
2,300kcal/h レギュラーガス | 3,000kcal/h プレミアムガス 2,400kcal レギュラーガス |
使用時間 | 約90分 プレミアムガス | 約120分レギュラーガス | 80分 プレミアムガス 100分レギュラーガス |
使用可能な鍋直径 | 19cm | 18cm | 不明 |
価格※ | 5616円 | 4550円 | 5400円 |
※価格はamazon調べ。この記事執筆時(2019.4.12)のものです。
- イワタニのCB-JCB(ジュニアコンパクトバーナー)はST310と双璧をなす定番のCB缶シングルバーナー。軽量ですが使用時には展開して大きくなるのが特徴で、価格は一番安いです。
- ユニフレームのUS-700はサイズは一番小さいのですが、発熱量は大きい強力なシングルバーナー。使用可能な鍋サイズの情報はありませんが、五徳が小さいので他メーカーのように大きな鍋を載せると安定しないと思われます。
- SOTOのST-310はライバルのシングルバーナーに比べて価格が一番高いし、重いし、発熱量も控えめということで、カタログの数値上はあまりパッとしないですね。(笑)
結局のところ、ST-310の人気はスペック上の数値ではなく、マイクロレギュレータ搭載とデザインなんだと思います。特にデザインについては使用時に脚兼用の五徳がパッと開き安定する姿が見た目にメカメカしくて、個人的に気に入っています。
新型のSOTO ST-330とST-330のどちらを選ぶか
2019年4月に発売されたSOTOの新型シングルバーナーST330にはFUSION(フュージョン)という名前がつけられています。この名前には、これまでのSOTOのシングルバーナーの優れた技術を掛け合わせて作ったという意味がこめられています。
そんなST-330は技術的にとても優れているところが多い一方で、使いにくいと感じる部分もあります。それは分離式バーナーのため、テーブルの上に置いた時のバーナーとボンベの専有面積がどうしても大きくなってしまうということです。
2019年のGWに僕は連泊でファミリーキャンプに出かけたのですが、シングルバーナー2台でツーバーナーの様に使ってやろうと考え、ST-330とST-310の2台をもっていきました。
キャンプをしている中では、バーナー1台あれば事足りる場面が何度かあったのですが、そんな時には自然とST-310の方を使用していました。というのもキャンプ用の小型テーブルの上に置いて使うにはコンパクトなST-310の方が断然使い易かったからです。
ST-330はCB缶とバーナー本体がホースでつながれる関係上、どうしても距離が離れ場所をとるのです。ST-310しか使っていなかった時には、コンパクトに使用できることのありがたさを実感していなかったので、ST-330を使うことによってこの点に気づかされのは意外でした。
重いダッチオーブンを使用するという様な明確な理由がある場合にはST-330を選べばいいのですが、特に用途を絞らずオールマイティーに使いたい場合はST-310の方が先の理由で使いやすいと感じます。
というわけで使い方に特別なこだわりが無い場合、1台目のシングルバーナーとしてはST-310をおススメします。
ST-310のオプションパーツでパワーアップ
SOTOのST-310を使っていて面白いなと思うのは、カスタマイズが容易にできることです。
そのための純正オプションはもちろんのこと、社外製のオプションもかなり充実しています。
使い込めば使い込むほど、「もっとこうしたい。こう出来ないか。」と思うところが出てくるのですが、そこをカスタマイズによって修正してやると不思議と以前より愛着が沸いてくるのです。
ST-310購入時には点火アシストレバーも一緒に揃えたい
ST-310の点火装置はステルスイグナイターと呼ばれています。ステルスイグナイターとは圧電点火装置の配線をすべて製品内部におさめ点火装置自体の故障頻度を低下させる機能だそうです。確かにイグナイターって壊れやすい部品ですよね。未だに僕の所有しているST-310は壊れていませんから、その恩恵にあずかっているのかもしれません。
ただしST-310の点火装置は本体の奥まったところに付いて、とても押しにくいです。特に本体使用直後に再点火したい場合などは、五徳に手が触れて火傷しそうな気がします。
ステルスイグナイターの機能自体は良いのですが、やはり火傷してはいけませんのでオプションの「点火アシストレバー」(ST-3104)をはじめに購入し取り付けましょう。価格も500円程度です。
点火アシストレバーの取り付け方はとても簡単です。
バーナー側の器具栓ツマミ(ガスの栓)を広げて取り外したあと、アシストレバー本体を器具栓カバーに通します。
器具栓ツマミを取り付け、ボルト1本でアシストレバーをとめてやれば完成です。
ST-310の点火不具合かな?と思ったら
この点火アシストレバーを使っている時の注意点を一つだけ。
使っていると、とめているボルトが緩み点火アシストレバーの位置が手前にずれてくることがあります。すると点火スイッチを点火アシストレバーが押してくれず、点火できなくなる現象が発生するのですがこれが気づきにくいのです。
もし点火アシストレバーを押しても点火されなくなったら、ボルトのゆるみに注意してみてください。
風対策としてウインドスクリーンを取り付け
ST-310はそのままでは風に弱いので市販の風防(ウインドスクリーン)を使いたいところですが、CB缶一体型なのでCB缶部分が邪魔をして風防をつけにくい形状をしています。
そこで、僕はこれもオプションですがレギュレーターストーブ用ウインドスクリーン ST-3101を使用しています。
価格は1400円前後。使ってみて防風効果はたしかに感じられました。ただし2方向の風しか有効に働かないので風に合わせて向きを変えてやる必要はあります。
ST-310と組み合わせて使える道具の紹介
純正オプション以外にも、ST-310に組み合わせて使いたい道具を紹介します。
100均風防でカスタマイズ
ST-310もお持ちの方で、このダイソーのクッキー用抜型を風防に使っている方は多いと思います。
なんといっても100円の投資なので、ST-310を買ったら一番初めの改造としておススメのアイテムです。
安定した五徳が欲しい
ST-310の五徳は見た目に大型で安定感があるのですが、実際に使っていてコッヘルが滑って落下させたことが何度かあります。
意外にもちょっとした衝撃を受けると上に乗せたコッヘルが滑りやすいのですが、これはST-310の五徳の上面に作られた滑り止めの効果が少ないせいです。
そこで、シングルバーナーにちょうど良いサイズの小型の五徳を使用するようになり、この問題は解決しました。
僕が使っているのはZAFIELDのミニクッカースタンドです。この五徳は下の写真のように高さ、幅ともウインドスクリーンをつけたST-310のサイズにぴったりなところが気に入っています。
この五徳の記事を参考に載せておきます。
焦げ付き防止にバーナーパッドを使う
ST-310のバーナーヘッドは小型タイプなので、上にコッヘルやフライパンを載せると炎が中央に集中し、中央部分が焦げつきやすくなります。
そんな時に、僕はユニフレームのバーナーパッドを使用しています。
ユニフレームのバーナーパッドについては、以下の記事に詳しく書いていますのでご参照ください。下の写真はバーナーパッドSです。
100均のシリコーンマットでテーブルを熱から保護
これも、もしカセットコンロだったら不要なアイテムです。ST-310に底の広いコッヘルを載せて調理をする時、テーブルが輻射熱で熱くなっていることがあります。
ユニフレームの焚き火テーブルのような耐熱性のあるテーブルを使っていれば心配ないのですが、木製のテーブルや塗装されたテーブルを使用しているときは、テーブルが熱で傷んだり、焦げたりするかもしれません。
そんな時にはユニフレームやプリムスから出ているバーナーシートを使うのもいいのですが、サイズが大きめでテーブルの上で使うには少し大げさな気もします。
そこで現在は100均で売られている「シリコンキッチンマット」というシリコーン製のシートを使っています。耐熱温度は230℃ですので十分ですね。
下の写真がそうですが、電子レンジの下に敷くためのシートでかなり薄いので折りたたむとコンパクトになることからST-310の収納袋の中に一緒に入れておくことが出来ます。
パワーインクリーザー装着でさらに寒さに強くなる
ST-310にはドロップダウン対策としてマイクロレギュレーターがついているというお話をしましたが、さらに寒い環境で使いたい時は、キャプテンスタッグのパワーインクリーザーCB-250を使う方法があります。
このパワーインクリーザーの正体はカセットコンロに付いているヒートパネルと同じでバーナーの熱をCB缶に伝えて温めてくれるモノです。
真鍮製のヒートプレートにクロムメッキされた銅棒のヒートアーム、そして安全のためにナイロン製の黒いカバーがついています。
CB缶への取り付けはマグネット式ではなく、パチンとCB缶の縁にはまる金具で固定する仕掛けになっています。
使ってみたところ、このパワーインクリーザーによるドロップダウン対策の効果は大きいと感じました。氷点下付近でST-310使って炎が少し小さくなったときに、このパワーインクリーザーを装着してみたところ、炎の勢いが元に戻るのが分かりました。
注意!
最後は寒冷地用ガスを使う
僕がキャンプをしている中部地方の平地部では、このST-310の仕様中に寒冷地用ガス(プレミアムガス)が必要と感じたことは今年の冬シーズンのキャンプではありませんでした。でも、もしもの時を想定して荷物の中にパワーガスを1本入れておくと良いと思います。
純正オプションの極みは溶岩石プレート
溶岩石プレートについては、こちらの記事に詳しく書いたのでご覧ください。
同包されている遮熱板はテーブルを熱から守ってくれるので、使い道が多いパーツですよ。
SOTO ST-310を使い始めて感じたこと
ST-310を実際にソロキャンプで使うようになって感じたことを書きます。
カセットコンロに比べてキャンプ道具感が強い
ST-310を使い始めたころより、五徳やらウインドスクリーンやらと、使う際に組み立てるパーツが増えてきました。そういう手間が面倒なので、当初はカセットコンロの方が使いやすいと想像していたのすが、今ではそんな手間をかけている時間もキャンプでは楽しいひとときと感じられるようになりました。
当然使っているとバーナーヘッド部が焦げて徐々に黒く変色していくのですが、その姿さえ味わいに感じられるのは、きっとST-310がキッチン用品ではなく正真正銘のキャンプ道具だからなのだと思います。
今はST-310を長く使っていける気がします。
ST-310は中国メーカーが真似ができない技術レベル
ST-310のライバル、イワタニのジュニアコンパクトバーナー CB-JCBにそっくりの海賊版?がアマゾンで売られているのをよく見かけるようになりました。
ところが、SOTOのST-310については未だに海賊版が売られているのを見たことがありません。これはSOTO独自のマイクロレギュレーター技術を中国メーカーが真似できないからだと思います。こういうところにSOTOの技術力/ブランド力が感じられますね。
真似をされないST-310は所有感を満たしてくれるバーナーなのです。
シングルガスバーナーの決定版SOTO ST-310まとめ
ST310はそれまで使用していたカセットコンロよりもずっと所有感があり、オプションを足しながら育てることで愛着も大きくなってきました。CB缶用のシングルガスバーナーの中で唯一マイクロレギュレーターを搭載している(現在は同社のST-330にも搭載されていますが。)ので冬キャンプでも十分な仕事をしてくれて、とてもありがたいです。
さて、最後に管理人による独断と偏見によるST-310の評価です。(オプションなしで評価)
1.使いやすさ
2.性能
3.コストパフォーマンス
SOTOのレギュレータストーブST-310ですが
ソロキャンプをこれから楽しみたいキャンプ初心者さんに特にオススメです。
使い方にあわせてカスタマイズしていけるバーナーなので、様々なスタイルのキャンプに対応できるのがいいところ。
それでは、今回はこのへんで。
みなさん楽しいキャンプを!