今回はキャンプで人気を2分するエリッゼステークとソリッドステーク、この2種類の鍛造ペグについてご紹介します。

もともと鍛造ペグはスノーピークが1995年に”ソリッドステーク”という製品を発売し、この評価が高かったことから急速に広がってきたものです。これは、この頃から快適なテントやタープの製品化に伴う大型化や重量化が進んできたことが背景にあると思われます。

一方、エリッゼステークは村の鍛冶屋さんが製造する鍛造ぺグ。後発商品になりますが、それまでのスノーピークのソリッドステークが黒一色だったのに対して、豊富なカラーリングを採用することでソリッドステークに並ぶ人気商品となっています。

テント用のペグに着色するということは今では当たり前かもしれませんが、エリッゼステーク発売当時は結構なインパクトがあったことを覚えています。

さて、それではこの2つの鍛造ペグをじっくりとみていきましょう。

エリッゼステークとソリッドステークの紹介

まず下の写真ですが、左の赤いペグが村の鍛冶屋さんのエリッゼステーク 28cm、右の黒いペグが、スノーピークのソリッドステーク30cmです。

ソリッドステークの方は約1年、エリッゼステーク は約半年の間使用しています。はじめはソリッドステークを使っていたのですが、カラーが黒一色のソリッドステークに対して、後発のエリッゼステークはカラーリングが豊富であるところが魅力で、今ではエリッゼステークの本数が圧倒的に多くなりました。今は赤・青・黄色・オレンジを所有していますよ。

ペグ01

「最強のペグ」というコピーのソリッドステーク

スノーピークのソリッドステークを最初に購入したのは、金属製の重いハンマーを使用する様になってネイルペグやプラペグ、アルミのL字ペグ等が、次々と変形、破損して使い物にならなくなったことがきっかけです。

ソリッドステークには「ペグは消耗品」という概念を変えた最強ペグというキャッチコピーがありますが、まさにその通りで、いくら硬いハンマーでガンガンと硬い地面に打ち込んでもビクともしない強度を持っています。はじめてこのペグが登場したときは凄いペグが出てきたものだと思ったものです。ソリッドステークの単価は確かに高いものの、耐久性はそれ以上なので、長い目で見たら安い買い物だと思います。

カラーバリエーションが豊富なエリゼステーク

一方、村の鍛冶屋の販売するエリッゼステークは後発の商品になります。ELLISSE(エリッゼ)=楕円、STAKE(ステーク)=杭、この2つの言葉を組み合わせた名前の通り、エリッゼステークはペグ断面が楕円なのが特徴です。ソリッドステークと同じように新潟県三条市で作られているペグですが、本家ソリッドステークに比べて価格が安いのが長所といってもいいでしょう。

またソリッドステークには黒色しかありませんが、エリゼステークはカラーバリエーションが豊富なことも人気の理由です。

鍛造ペグは「鍛造」工程で強くなる

ソリッドステークもエリッゼステークも鍛造という製法で作られています。エリッゼステークの場合は素材の丸い鋼材を約1100℃になるまで真っ赤に熱し、約1トンという強力な力で一気に断面を楕円形に潰しています。熱した鋼材に強力な圧力を加えることによって、優れた強度を持つペグが完成します。

鍛造は古くから刀を叩いて作る製法として知られています。鍛造ペグの場合は熱した金属を型で成形しています。

鍛造(たんぞう、forging)とは、金属加工の塑性加工法の一種。金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する。古くから刃物や武具、金物などの製造技法として用いられてきた。

金属の素材を金型などで圧力を加えて塑性流動させて成形する。鍛流線 (fiber flow) が連続するために組織が緻密になり、鋳造に比べて鋳巣(空洞)ができにくいので、強度に優れた粗形材をつくることができる。

エリッゼステーク vs ソリッドステークの比較評価

それでは、いいよ2つの鍛造ペグを比較していきたいと思います。

耐久性

まず耐久性能についてですが、実際にはこの半年の方がキャンプに行く頻度が高かったので、使用回数にするとソリッドステークはエリッゼステークの1.3倍くらい多く使ったと考えてください。

塗装のはげ具合や錆びの程度を見る限りでは、両者共にあまり差はありません。ハンマーがあたる部分や土に突き刺さる先端部分の塗装の落ち方は似たような感じです。ある程度使用した時点より錆は広がらず見た目の劣化は進んでいない様です。よってエリッゼステークvsソリッドステークの耐久性の比較結果は互角とします。

打ち込む感触

これは週末に良く通っている粕川オートキャンプ場での使用における評価です。地面のコンディションは概ね小石混じりの土で、時々大きな石に当たることがあります。

まずソリッドステークですが、ハンマーで打ち込むと一打毎に土の中にぐいぐいペグがめり込んでいく感じがします。打ち込んでいく時の感触が気持ち良いのがソリッドステークの特長です。これはソリッドステークの断面が円であること、相対的に細いペグであることによるものと思われます。

一方のエリッゼステークですが、地面に打ち込む手ごたえがソリッドステークより重いです。これは断面が楕円になっていることとソリッドステークよりペグの断面積自体が大きいことが原因だと思います。

よってこの勝負、打ち込んだ感触が気持ち良いソリッドステークの勝ちとします。

ペグの基本性能(抜けないこと)

ペグを打ち込む時の逆ですが、エリッゼステークはペグを抜く時に力がより必要だと感じます。言い換えればそれだけ抜けにくいペグということになります。また楕円形状は地中でペグが回転しにくいメリットがあります。この抜けにくいことはペグにとっては重要な性能ですのでとても評価できます。

よってこの勝負、抜けにくいエリッゼステークの勝ちとします。

ペグの抜きやすさ

撤収時にペグを抜こうとした時に容易に抜くことが出来るのもペグの大切な性能です。これはいっけん先にお話した「ペグが抜けないこと」と相反するように感じるかもしれませんが、地面にはしっかり刺さっているのに、抜くためにペグ抜きを引っ掛ける方法が無いペグなんていくらでもあるのです。

ただ、どちらのペグもペグハンマーの反対側についているペグ抜きなどをひっかける穴がついているため、この点についてはどちらも問題ありません。

エリッゼステークの場合、なかなか抜けなくて困ったという時は、もう一本ペグを用意して打ち込んだペグの穴にさしこみ、ぐるっと一回転してやるだけで、あとはそれほど力を入れなくても抜くことが出来るようになります。これもエリッゼステークが楕円形状の断面だから出来る技です。

ソリステの場合は、比較的エリッゼステークに比べて抜きやすいため、ペグの抜きやすさについての勝負は引き分けとします。

視認性(見つけやすいか)

打ち込んだ後のペグは、次の理由から視認性が良いことがポイントになります。

  • テント撤収時にペグを抜き忘れ失くしてしまう
  • ペグに気づかず、足をかけて転倒する。

この評価項目はエリッゼステークのためにあるようなものなので、スノーピークファンの方にはとても申し訳ないです。僕はエリッゼステークの黒とエリッゼステーク(どちらも黒です)はテント自身を直接地面に打ち込むような場所にしか使用しません。ガイロープを固定する時は必ず色付きのエリッゼステークを使うようにしています。やはり黒は目立たないので、どうしても足をかけやすいからです。この勝負、エリッゼステークの勝ちです。

大切な価格

2019年3月時点のamazonでの販売価格を比較します。セット販売のものは1本あたりに計算し直しています。(小数点以下は四捨五入)ソリッドステークは30cm、エリッゼステークは28cmの黒と赤(カラー)を比較しました。

とにかく安い鍛造ペグが欲しい場合には、エリッゼステーク場合カチオン電着塗装の黒色を選ぶことになりますが、同じ黒色どうしを比較すると1本あたり約100円の差でエリッゼステークが安いことになります。

次にキャンプ場でペグにつまずかないために色つきが良いと考えた場合にはエリッゼステークのカラー品(粉体塗装)しか選択肢がありませんが、エリッゼステークの赤色を選んだとしても10円ほどソリッドステークよりも安いですね。ペグは数多く必要になるので、この差はやはり大きいです。この勝負、エリッゼステークの勝ちです。

ソリッドステーク30(黒)453円/本
エリッゼステーク28(黒)356円/本
エリッゼステーク28(赤)443円/本

エリッゼステーク vs ソリッドステーク 総合評価

結果はソリッドステーク1勝、エリッゼステーク3勝、1引き分けでした。

ソリッドステーク
エリッゼステーク

これまでソリッドステークとエリッゼステークの比較をしてきましたが、基本性能、視認性、価格面で有利なのがエリッゼステーク。一方、ソリッドステークは打ち込んだ時の感触がたまりません、という方にはお勧めです。

何をポイントにするかで優劣が決まることになりますが、総じて価格までを考えるとエリッゼステークの方が良くできていると感じます。

ペグ02

最後になりましたが、こちらの関連記事も参考にどうぞ。

それでは、今回はこのへんで。

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